SAMMU MAGAZINE ようこそ、山武へ
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CHIMATA GOBAN SAYTOREりつ「盤師」とは、将棋や碁の盤を作る職人のこと。その中でも、材料の製材から脚までを一貫して作る盤師は、今や全国で数える程しかいない。その貴重な職人のひとりが「八街碁盤店」二代目盤師の三浦勝かみ巳さんだ。まさに伝統文化そのもの。詳しくは「広報さんむ」令和4年1月号の取材記事を読んでもらいたい。さて、全てをひとりで作られているのかと思いきや、夫婦分業と聞いて驚いた。盤を勝巳さん、脚の仕上げを奥さんが担当し、最後に組み合わせて完成となるのだ。その過程たるや、途方もない作業の連続で、それはもう盤師としての執着とこだわりが……この先も「広報さんむ」を読んでもらうとして、まずは盤の話。盤の裏に「へそ」と言われる窪みがある。それはピラミッドのような四角錐きが掘られたもので、その意味は諸説あるので興味があれば調べて欲しい。さて、この「へそ」を彫る作業。三浦さんは淡々と彫り進めるが、それは幾度も彫ってきた経験があってこその手際。ノミを操り、寸分の狂いもなく掘り上げていく姿は惚れ惚れする。三浦さんの真剣な眼差しとその巧みな所作が、盤に魂を込めているようで、感動せずにはいられない。次に脚の話。4つの脚が見事なまでに均一で、同じ輝きを放つのには、丹念な作業の積み重ねがある。その工程のひとつがロウ塗りだ。微妙な感覚と感触が仕上がりを左右するからと、熱したロウを指で塗り重ねていく。ひとつの脚を仕上げるのに幾日も費やす。普通なら気が遠くなるような話を、当たり前のように話す奥さんの眼差しは、盤作りへの思いに満ち溢れている。このへそと脚の話は、「八街碁盤店」の伝統ある盤作りの一端である。そして、夫がへそを彫り、妻が脚を磨くという、〝三浦家夫婦二人三脚話〟でもあるのだ。完成した美しい盤には、匠の技が生み出す美しさの中に、盤作りに対する夫婦のひたむきな姿勢が映し出されている。それが「八街碁盤店」が作る盤の特別な〝味〟なのかもしれない。19GOBAN八街碁盤店千葉県山武市埴谷2315-11TEL:0475-89-0008URL:yachimatagoban.jimdofree.com※「広報さんむ1月号」は、山武市役所ホームページより見らることができます。city.sammu.lg.jp/page/dir000067.html『八街碁盤店』の『八街碁盤店』のへそと脚のお話へそと脚のお話18

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