SAMMU MAGAZINE 2022 Vol.2
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お客さんの波が落ち着き、ひと仕事終えたお母ちゃんが厨房から出てきた。気風のいいお母ちゃんの話は面白い。今日は、日本の味噌汁が家によって違うように、韓国ではキムチとチヂミが家それぞれの味なのだ、と話してくれた。「やなぎ」のお母ちゃんの作るキムチは格別に旨い。チヂミも周りがパリパリ、中がもっちりで、一度食べたら忘れられない美味しさだ。そんな話を聞きながら、僕は肉を焼く。「それ以上焼いちゃだめだよ」と、お母ちゃんのチェックが入る。食べると、それまで好き勝手に焼いていた肉の味とは雲泥の差だ。良質な肉も、焼き加減ひとつで美味くも残念にもなるということ。さすがだ。美味い。これまで広告も宣伝もしてこなかった「やなぎ」。それは常連さんとその家族を大事にしてきたから。親から子へ、子から孫へ。世代が変わっても、家族団欒の場にいつも「やなぎ」があることが、お母ちゃんの喜びであり、やりがいだった。地元の花火大会の日は窓際の席が特等席で、焼肉を食べながらみんなで花火を楽しんできた。その花火大会も今ではなくなり、お母ちゃんはとても悲しそうだ。今年も夏が終わり、鈴虫が鳴き出した。懐かしいお母ちゃんの思い出話を聞きながら、僕は肉の美味い焼き加減を覚えるのに夢中だった。Eat up MeatRESTAURANT17 おお母母ちちゃゃんんのの味味  激激ううまま!!    みみそそだだれれのの牛牛シシママ腸腸、、焼肉 やなぎ千葉県山武市埴谷1941-8TEL:0475-88-4129営業時間:17:00〜23:00(LO/22:30)定休日:月曜日、第4火曜日(手前)やなぎ上カルビ/1,400円(写真は2人前) (左奥)キムチ盛り合わせ/800円(共に税込)10『『焼焼肉肉 ややななぎぎ』』のの

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