SAMMU MAGAZINE 2023 Vol.3
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剛ごうさんが、いつものように友人とスケボーを楽しんでいると、農家さんが販売できない落花生を持ってやって来た。「やるよ」と、コンビニ袋いっぱいの落花生。思いつきで作ったピーナッツバターが思いのほか美味しく、道の駅で販売してみると、みんな「おいしいよ」と買ってくれる。その声に後押しされ、出店した東京のイベントでは、ひと月で3万個が売れた。3万個だ!これは、いける!花生のポテンシャルの高さを確信し、剛さんは「HAPPYち上げた。本格的にピーナッツバター作りがはじまった。それはいつもの仲間と、いつもの海のそばで、スケボーを楽しんでいる時と変わらない感覚だったと、剛さんは当時を振り返る。生産者さんの協力を得て、手間をかけ、知恵を絞り、千葉の落花生の美味しさが一番引き立つ、極上のピーナッツバターを目NUTSDAY」を立   千葉の落指した。そうして、今では全国に広がり、累計300店舗で販売されるまでになった。剛さんは学生時代を海外で過ごした。その時に、日本の地方には魅力ある産物がたくさんあることを知った。社会に出て、広告とデザインの世界に入り、そこでいかにデザインとアイデアが、地方の産物の魅力を引き出す手段になるかを実感した。それぞれの魅力を掛け合わせることで、また新たな価値が生まれるということを。〝才能の掛け算〟と、剛さんは言う。その掛け算は、無限の可能性を含んだ剛さんの挑戦でもある。そして、沖縄の黒糖やチョコレート、ベトナム料理など、違う世界のものとピーナッツバターとの掛け算から、次々と新しい価値を誕生させている。はじめてピーナッツバターを作ったあの日から10年。夢だった自社工場が稼働し始めた。その場所は、旧蓮沼幼稚園。子どもたちが遊んだり、歌ったりしていた園舎は、ピーナッツバター工場に生まれ変わり、人が集うコミュニティの場にもなろうとしている。定期的に行われるオープンデーでは、様々なイベントや工場見学会を開催している。イベントを通して、新たな出会いやアイデアが生まれ、ここでも〝才能の掛け算〟が広がっている。子どもたちがすくすく成長するように、いろいろな未来がここから育ち始めているのだ。ひょっとしたら、子どもたちがピーナッツバターを食べながら、ここでワイワイする日が戻って来るかもしれない。剛さんの掛け算は、そんな未来の幸せをも生みだす力があるんじゃないかと、思わせてくれる。08HAPPY NUTS DAY千葉県山武市蓮沼ハの5373TEL:0475-51-0200URL:happynutsday.com『HAPPY NUTS DAY』の幸せな掛け算

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