SAMMU MAGAZINE 2023 Vol.3
12/36

『小川屋とうふ店』の大切な手間「小川屋とうふ店」の朝は早い。毎朝3時半から仕込みがはじまる。大豆を挽き、釜茹でし、できた豆乳を、絹、木綿、寄せ、焼き……それぞれの豆腐に仕上げていく。工程も様々なら、手間も様々だ。それらは、小川さんご夫婦と娘さんとの、阿吽の呼吸で進められていく。木綿豆腐は特に手間がかかる。木綿豆腐とは、木綿の布を敷いた型の中で押し固めた豆腐のことだ。にがりで固めた豆乳を一旦崩し、それを木綿の布を敷いた型に流し込み、いくつもの重りを積み重ね、その圧力により水分を抜いて固めていく。頃合いを見て、重りを下ろして出来具合を確認する。そしてまた重りを積み重ね、頃合いを見て出来具合を確認する。弾力のいい豆腐に出来上がるまで、その地道な作業を繰り返す。それは肉体労働に他ならない。計りがあるわけでも、機械が管理してくれるわけでもない。小川さんの長年の経験から、手に染み込んだ感触だけがその加減を知っている。ようやく固まると、水の中で型から外し、年季の入った木の板の上で、一丁一創業創業75年年04

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る