SAMMU MAGAZINE 2023 Vol.3
19/36

((イイッットトーーススンンがが強強いい))知ってる? 「けんかグモ」って。え、知らない? 2匹の「ハエトリクモ」ってクモを、手の甲や手の平とかに乗せて戦わせる遊び。そもそも「ハエトリクモ」は戦う習性があるから、それを利用した遊びだよね。もう、40年くらい前かな。俺らが遊んでたのは。この辺では蓮沼だけの遊びだったんじゃないかな。まわりの地域はどこもやってなかったと思うよ。そもそも最初はまわりの大人たちがやってて、それを見て俺ら子どもたちも始めたんだよね。「ハエトリクモ」は、1センチくらいの大きさで、当時そこら中にいたよ。俺らはもっぱら下校途中に捕まえてた。捕まえたクモを帽子の内側のテープの間に忍ばせてたんだよ。え、気持ちわりぃって!? これが意外に大人しくしてるんだよ。「強えぇクモを探し行こうゼ」って、友達とチャリで隣町とかにも行ったな。大人たちは、自分だけの秘密の場所ってのがあって、わざわざ車で捕りに行ってたよ。ケツがでかい方が強くてさ、いろんな色のがいて。「カバケツ」って言って、茶色の産毛が生えた奴が強くてさ。みんな少しでも強そうなヤツを探しまわってたよ。クモは一匹づつマッチ箱に入れて保管するんだよ。大人は桐箱とかに入れたりして、爪楊枝の先にコーヒー牛乳付けて飲ませたりしてさ。そうそう、ペットと同じだよね。強い順に「イットースン」「ニトースン」って階級があってさ。自分で決めるんだけど、どの階級のクモを戦わせるかが大事でさ。って言うのも、一度負けたクモは戦意喪失して、事実上引退になるわけ。だからできるだけ強いヤツは温存しときたいんだよね。技は2つ。取っ組み合って押し出す「ガリ」と、食べてしまう「クイコロ」。押し出すことを「ガリかます」って言ってたな。大人たちから「全国大会がある」って聞いた時はマジ驚いた。「全国大会に出るヤツは、見たこともねぇくらい、とんでもねぇヤツだ」って言ってた。誰も見たことなかったけどね(笑)。中学に上がって、TVゲームやファミコンが出てきた頃からかなぁ、だんだん「けんかグモ」で遊ばなくなったのは。時代と共に……って感じだよね。蓮沼からはすっかり消えたよ。でも、今でもやってる人がいるみたいだよ。調べてみたら全国大会があるかも〜。蓮沼生まれ蓮沼育ちのMUさん ななつつかかししすすぎぎ〜〜17トトーーススンン==強強ささのの階階級級をを表表すす単単位位          カカババケケツツ==尻尻がが茶茶色色のの生生毛毛でで覆覆わわれれてていいるるククモモかかたたけけんん==剣剣がが片片方方ししかかなないいククモモおおいいけけんん==左左右右のの剣剣のの長長ささがが違違ううククモモ「「けけんんかかググモモ」」用用語語剣剣==手手ガガリリ==押押しし出出ししククイイココロロ==食食べべててししままううここととリリーーチチ==剣剣をを広広げげたた長長ささ((長長いい方方がが有有利利))ややるるかかココララ〜〜蓮沼伝説「けんかグモ」の話蓮沼伝説「けんかグモ」の話

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る