SAMMU MAGAZINE 2023 Vol.3
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山武杉の参道の先に満開の枝垂れ桜が見えてくる。歴史と共に長く愛され親しまれてきた杉と桜の共演。山武が誇る、山武にしかない桜見なのだ。「長光寺」と「妙宣寺」。この山武の由緒あるふたつの寺院は、偶然にも枝垂れ桜で有名な名所で、図らずも、はしごして桜見が楽しめるほどご近所にある。これもまた歴史の思し召しではと、奇跡のような巡り合わせを感じてならない。毎年春の訪れとともに、どちらともなく薄紅色の花を咲かせる。桜花絢爛の時期には、春の風に舞踊る花弁たちの可憐な姿に、訪れる人は魅了される。春の山武を語るには、欠かせない観光名所のひとつ……いや、ふたつだ。「山武二大枝垂れ桜を愛でるツアー」と称して、春の山武を訪れる価値は大いにあるはず。長光寺の広い境内には、多くのウバヒガンシダレの老樹が立ち並ぶ。特に山武市天然記念物に指定された、樹齢300年、高さ15メートル、幹の太さが5メートルにもなる枝垂れ桜は圧巻だ。ひと通り回遊したら、本堂の軒下に立ってみるといい。そこから見上げる桜は絶景のパノラマだ。妙宣寺の枝垂れ桜は、長光寺より小振りではあるが、それ故に枝垂れる桜の花々を身近に見て取れ、そっと顔を寄せれば、桜の香りを感じることができる。本堂横に隠れるように咲いている一本の枝垂れ桜は、背景に山武杉がそびえ、これもまた山武らしい光景の一つだ。ふたつの寺院は、それぞれ山武杉に囲われた参道の先にある。高高と立ち並ぶ山武杉の厳格な雰囲気の中で、枝垂れ桜を目指すのも「山武二大枝垂れ桜を愛でるツアー」の目玉と言えよう。19長光寺参道

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