SAMMU MAGAZINE 2023 Vol.3
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軽食喫茶『山びこ』の大きな鉄板の思い出真っ赤な仁王門の斜め前に、みゆきさんの「山びこ」はある。浪切不動院の前の小道は、高校生の通学路だ。通りに面したお店の窓際に大きな鉄板があり、夕方になれば、窓からお好み焼きや焼きそばのジュウジュウと焼ける音と、ソースのいい匂いが漂う。「山びこ」は、そんな匂いに誘われた、部活帰りの高校生の小腹を満たしていた。その中にはバイトで働く子もいたし、文化祭だといえば、みゆきさんが模擬店のお手伝いもしに行った。彼らにとって「山びこ」は青春の舞台であり、みゆきさんはなくてはならないお母さん的存在だっただろう。店の片隅のアルバムには、当時の思い出がいっぱい詰まっていた。ボクは、「お好み焼き」と「焼うどん」を注文した。どれも値段は500円。500円でないと計算が難しいらしい。ジュウジュウといい匂いがしてきた。高校生の腹を満たしていたボリュームは、今も変わっちゃいない。「〝山びこ〟って、叫ぶとちゃんと帰ってくるでしょ。そんなお店でありたくて」。みゆきさんが、店名の「山びこ」について話してくれた。「山びこ」がたちが集まって、パーティーを開いてくれたそうだ。今でもたまに、近況報告に訪れてくれる。みゆきさんにとって、当時の高校生たちこそが〝山びこ〟なんだと思った。そんな話をしながら鉄板の前に立つみゆきさんの横顔は、やっぱり幸せそうに見える。27創業創業40年年15軽食 喫茶 山びこ千葉県山武市成東2483-12TEL:090-4945-1644営業時間:11:00〜16:00 定休日:日曜日お好み焼き、焼きそば、焼うどん/各500円(税込)40周年を迎えた時には、当時の高校生

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